タイトル:ウラジオストクのカフカ
− APEC PROJECT −
氏 名
梅澤 竜也
所 属
東京理科大学大学院 理工学研究科建築学専攻
研究室
小嶋一浩研究室
作品概要
 2012年にロシアの極東ウラジオストクで開催されるAPEC首脳会議に求められる一連の施設。“ひとつの視点”から描かれた物語であり、舞台となるルスキー島の今後の開発へ向けたアーバン・ファブリックである。
 “80km/hで走行する道” “豪華な昼食” “21人の撮影台” ―
 この建築は映画のショットやシークエンスのように、断片の連続でできている。断片はAPECを出来事の単位に分解し、空間化したもので、 それは“ひとつの視点”によってつなぎ合わされる。“ひとつの視点”とは知覚者、時刻を想定した主観的な世界の見え方である。ここではAPECに出席するある首脳の視点で、空間は視点から認識され、視点の移動とともにシナリオは展開する。つなぎ合わされた断片は互いに空間イメージを形成し合う。しかし、それは絶対的なものではなく、暫定的な事実である。いくつかの断片が形づくった空間イメージは別の断片の出現によって変形してしまう。繰り返された変形の後、残るのは空白感である。掴みどころのなくなった断片の空白を、私達は自らの方法でうめることで理解し、それぞれかたちの違う、個人的な全体像をつくりだす。
 首脳会議が終われば、シナリオは解体し、各空間はバラバラになって、特異な断片として残る。それは“意味”を持たない身体的な痕跡として、島のアーバン・ファブリックとなる。万華鏡のように姿をかえる全体像は、カフカのように人々に解釈され続け何度でも生まれ変わる。
梅澤竜也作品01
(pdf 496KB)
味岡美樹
Profile
1982 東京都 生まれ
2008 東京理科大学大学院 卒業
Copyright (C)The Japan Institute of Architects Kanto-Koshinetsu Chapter 2007
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