箱根・宮ノ下地区を対象とした分散型共同体を形成するウェルネスコミュニティ施設の計画

〜温泉街における空間の構造と人の行動に関する研究を通して〜

氏 名
池上 知見
所 属
関東学院大学 工学研究科建築学専攻
研究室
中津研究室
作品概要
 本計画及び研究は、温泉街における空間の構造と人の行動に関する調査・研究を踏まえ、分散型共同体を形成する住民と観光客の関係形成を、箱根・宮ノ下にある小学校跡地を中心にウェルネスコミュニティ施設を計画することを通して示したものである。
 調査・研究から、住民と観光客では街の空間認識に差があり、それに伴う行動や場所の選択性に差があるという考察を得た。そこで私は、住民と観光客の活動や体験を直接結び付けるのではなく、それらはそれぞれ小さな単位でばらばらに存在しながらも同時に目的やテーマ、環境といった部分を共有する“分散型共同体”としての人々の関係を提案することで、住民と観光客という二者のカテゴリーではない新たな人々の関係を提案する。また、箱根・宮ノ下において自分のカラダをみつめる・自分のカラダについて考える=wellnessという概念は住民だけでなくそして観光客だけでもない、更には山村地域と都市といったカテゴリーを越えて様々な人々出会わせるきっかけに成り得ると考えた。
 計画概要として、まず既存商店街が建ち並ぶ国道1号線の歩行軸と連携する新たな回遊歩行路を提案した。そしてその歩行軸形成のきっかけとして今年3月に廃校となる箱根町立温泉小学校跡地において、提案する回遊路を内包したウェルネスコミュニティ施設を計画した。
 私の計画した空間は、身体が動き回ることで初めて体験できる空間である。そして、この場所で得られる空間体験こそが宮ノ下の新たな回遊体験を作り出す。一人から数人の為の小さな単位の空間が、集まったり独立しながらも全体では一つの集合体を形成し、更に住民の日常的な活動が重要でありながらもそれだけでは完結しないウェルネスコミュニティプログラムが連動することによって、今までの観光地における住民と観光客という二者だけで語られる関係ではない新たなコミュニティの形を提案する。
池上知見作品01
池上知見作品02
(pdf 624KB)
味岡美樹
Profile


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