JIA世田谷地域会
《世田谷の地域風景資産を歩くY》

2019年10月5日開催

  《世田谷の地域風景資産を歩く》第6回は桜新町・深沢周辺の5つの風景資産を歩きました。
今回のまち歩きのチラシはこちらからご覧いただけます

@双子の給水塔の聳え立つ風景
A松林と大欅のある世田谷新町公園
B旧新町住宅地の桜並木
C呑川親水公園
D清明亭
E園芸高校の並木とみどり空間
        (残念ながら今回は見学できませんでした)

ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

世田谷の地域風景資産を巡るまち歩きも6回目となりました。
秋晴れの快晴に恵まれ、今日は桜新町、深沢周辺を歩きます。
先ずは双子の給水塔から。この給水塔は東京の人口増に対応すべく当時の渋谷町が布設した町営水道で、水道事業計画の権威であった中島鋭治博士の設計により大正13年に竣工したものです。多摩川から取水した伏流水を世田谷を横断して渋谷町へ送っていました。多摩川から送水ポンプで給水塔へ押上げ、給水塔以降は自然重力で渋谷へ送水しています。現在では災害時の予備水源となっているということです。
駒沢給水塔を背にして渋谷方向へ一直線に伸びてゆく水道道(スイドウミチ)を見ながら説明を聞いています。三軒茶屋のキャロットタワーが正面に見えています。
次の地域風景資産・新町公園で活動団体の講師から説明を聴く参加者。この公園は世田谷区で最初にできた公園です。
桜新町駅前に戻りました。桜新町といえばサザエさんです。作者長谷川町子の自宅兼アトリエがあったことからサザエさん通と名付けられた商店街もあります。現在、長谷川町子美術館、記念館などがあり、駅前には磯野一家の銅像が並んでいます。
  旧新町住宅地の桜並木。新町住宅地は関東初の近代的郊外型分譲地で、大正2年に分譲開始されました。主要な骨格となる道路には桜が植えられて桜の名所として有名となったことから、昭和7年には玉電の駅名が新町から桜新町に変っています。
現在では桜も老木となり、今後のケアが課題となっています。
旧新町住宅地の一角、無原罪教会南側辺りの路地を散策中。緑も多く素晴らしい住環境です。
広い邸宅の南半分ほどが公開緑地として区に移管されています。このような事例の一方で、新町住宅地にも土地の相続問題から小規模な土地に分譲されるところが出てきています。緑は減る方向にあり今後の住環境の変化が気になります。
新町住宅地の東端に流れる呑川。桜新町駅近くの湧水を含めて、多くの湧水を集めて東京湾にそそぐ呑川。1935年頃の区画整理事業に伴う改修の際に両岸に桜が植えられ、戦後下水化しましたが、1993年3月に駒沢通〜玉川通間の870mが親水公園として整備されました。手づくり郷土賞・人々が集い憩う水辺づくり部門(国交大臣賞)を受賞しています。
都立深沢高校の北門ちかくで清明亭の説明を聞く参加者。清明亭は製薬会社わかもとの社長長尾欣彌氏の邸宅の中の離れで、建築家・大江新太郎の設計により1931年に竣工した建物で、東京都指定文化財です。2016年に耐震改修されました。

北側道路から見た清明亭の外観です。地階がコンクリート造の上に木造の2階建てとなっています。全体に数寄屋造りですが、2階は洋風の寝室となっており、折衷的な意匠が見事にまとめられた建物です。現在、残念ながら限られた機会にしか公開されていません。