JIA世田谷地域会
《世田谷の地域風景資産を歩くX》

2019年3月31日開催

  《世田谷の地域風景資産を歩く》第5回は上北沢・桜上水周辺の6つの風景資産を歩きました。
今回のまち歩きのチラシはこちらからご覧いただけます

@上北沢駅前の桜並木
A賀川豊彦と松沢の境界・幼稚園・資料館
B緑丘中学校・校庭の大ケヤキ
C桜上水「江戸城御囲い松」の兄弟松
D桜上水の野菜畑
E八幡山の八幡社

ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

今日の街歩きは世田谷の上北沢・桜上水界隈の6つの地域風景資産を歩きます。
やや成行が心配な空模様の中、上北沢駅前の桜並木を見ながら、このまちあるきの趣旨を説明しています。
先ず賀川豊彦資料館へ。
賀川豊彦は若き日神戸にて貧しい人々の救済、労働組合運動、農民運動、協同組合運動、無産政党樹立運動に献身し、関東大震災が発生するや、東京において被災者救援やセツルメント事業に尽力しました。又生涯を通じてキリスト教の伝道を行い世界連邦運動を提唱、多分野にわたり著作を残しています。資料館はコンクリ―ト造の現代的な建物ですが、2階に当初の木造教会が保存されています。2008年JIA25年建築賞受賞、設計者はアルテック・阿部勤です。
2階の教会で、資料館の刈谷事務長から賀川豊彦について、又資料館について説明を受けました。現在も生協の集会など、この教会でおこなわれているそうです。
再び上北沢駅前の桜並木に戻り上北沢桜並木会議の野口さん、長峰さんに説明を受けました。大正末期に東京の人口増加の受け皿として第一土地建物株式会社により分譲された住宅地で、当初から桜が植えられたとのこと。現在は桜並木の保存の為、樹木の状態把握や長寿なサクラの品種への移行などを図っているそうです。
空模様は怪しかったものの桜は満開に近く、皆さん足取りは軽いようです。
緑丘中学校への途中、勝利八幡神社に立ち寄り見学。 ここには旧い社も保存されていて、名前の故かスポーツ選手の勝利祈願が多いそうです。
緑丘中学校の校庭に立つケヤキの木。運動部の練習を見守るように存在しています。江戸時代から旧上北沢村の庄屋だった鈴木左内邸跡地にあたり、かつて敷地一帯には牡丹園が拡がっていたと伝わっています。風景資産の活動団体の現況が不明の為、上北沢桜並木会議の野口さんが代わりに説明を引き受けてくださいました。

江戸城御囲い松の兄弟松について、守る会の初田さんが説明してくださいました。
緑丘中学校の南に生えている樹齢400年の黒松群。前記の庄屋 鈴木左内氏が江戸城出入りの植木職人であったことから、江戸城御囲い松と同じ苗木から育った兄弟松と伝えられているそうです。

桜上水の野菜畑にやってきました。
この風景資産の推薦者小林邦雄さんは15年程前に亡くなられ、活動団体は既にないそうです。
現地に今も残る農家野島さんのお話を聴くことが出来ました。今は専業ではないが、路地物の葉物野菜を主に生産し、販売もされているそうです。
関係者の高齢化による地域風景資産活動の継続断念のケースは増加の傾向にあります。この活動の困難な一面を垣間見た印象でした。

   今回のまち歩き6か所目、八幡山の八幡神社に到着。待っていてくださったのは御年90歳超えの長島さん。お元気なお声に圧倒されました。
戦後故郷に帰還した村民らが娯楽のない村に祭りを根付かせようと、長年奮闘されたそうです。その甲斐あって今では自前の山車や神輿も備え、まちも大いに発展し祭りも盛り上がっているそうです。若い人がこのようにまち歩きするのはとても良いことだ、と励ましの言葉をいただきました。