2.VOC対策とTVOC対策について
■個別の規制から総量規制へ
「シックハウス問題に関する検討会」において、厚生労働省は13の個別のVOC指針値を策定しました。
これは動物実験などの毒性研究によるリスク評価に基づいた健康指針値であり、その濃度以下であれば通常は健康への悪影響は起こさない、と推定された値です。
しかし、この13物質の個々のVOCがそれぞれ指針値を下回っていれば、その空気質が快適で安全かというと、決してそうではありません。また、約900種類にも及ぶ微量のVOCについて、短期間で健康影響評価を行うのは困難であり、指針値が認定されていない物質が新たな健康被害を引き起こすおそれもあります。
そこで厚生労働省は、個別のVOCによる汚染を全体として低減させ、快適な室内環境を実現していくために、VOC全体の空気中濃度の目安(TVOC指針値)を示しています。
これからのシックハウス対策は、個別のVOC濃度とTVOC濃度の双方がそれぞれの指針値を満たしていくことが重要といえるでしょう。