2.新規粒子内架橋型コアシェルエマルション |
一般的なエマルション塗料中のVOC成分は凍結防止剤としてのエチレングリコールや、造膜助剤としてのテキサノール等が主な物質としてあげられる。ツヤ有り塗料では組成的に樹脂分を多く含むことからVOCは通常つや消し塗料よりも多く必要とされ、開発が困難である原因ともなっていた。これらのVOC成分は従来の塗料ではいずれも不可欠なものであり、削減することによっては、低温時の変質や塗膜ワレ等の不具合が発生する。塗膜にワレが生じないようにするためには、一般的にはエマルションのTg(ガラス転移温度)を低く設計する必要があるが、単に低くするだけでは粘着性などが問題となるため、本塗料の開発にあたっては樹脂構成からの設計を行った。
図1に本塗料のために開発した新規粒子内架橋型コアシェルエマルションの模式図を示す。
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エマルションは2層構造であり、コア層(粒子内部)とシェル層(粒子外部)に区別される。低温時の造膜性や粘着性、膜強度などの塗膜性能にはコア・シェル各層の比率やモノマー組成、架橋度等さまざまな要因が関与するが、本製品ではそれらのバランスを取り、最適化を図ることで諸性能を満足させている。本開発品は原材料選択の段階においてもVOCをほとんど含まないものを選択して塗料配合し、塗料中のVOC含有量は0.3%以下を達成している。
ホルムアルデヒド放散量に関しても建築基準法のF☆☆☆☆の製品である。また、健康配慮のために抗菌、防カビ機能も付与させており(図2)、環境対応型の室内用塗料として現在市場展開を行っている。
当社では本製品以外にも室内鉄部・木部用の高仕上がり低VOC水性塗料「アレス水性ネクスト」、ホルムアルデヒド除去機能を付与させた超低VOCつや消し塗料「エコデラックスⅡ」などさまざまな環境対応製品の市場提供に努力している。 |
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