上海市建築学会との友好協定締結並びに
次世代建築家の相互交流プロジェクトについて

　2011UIA東京大会を契機に中国との交流が始まり、2011年12月にJIA本部とUIA中国国家支部である中国建築学会（ASC：北京）は友好協定を締結しました。関東甲信越支部でもUIA東京大会を契機に海外建築団体との交流や国内建築他団体と連携した活動が活発化しています。JIA本部とASCが友好協定を締結したことを受け、ASC傘下の上海市建築学会（ASSC）とJIA関東甲信越支部が友好協定を結ぶことになりました。

支部長上浪寛と本部国際委員会委員長赤堀忍、国際委員伊藤増輝の3名が5月14日に上海市建築学会を訪ね、基本協定の調印を行いました。
上海市建築学会を代表して出席した曹氏は、私たちが日本から上海を訪れたことについて「大きな誠意を感じ、2国間友好関係の良いスタートを切れる」と謝意を述べられ、機関紙間の情報交流等できるところから始め、成果を積み重ねていくことで合意しまた。また、UIA東京大会の成果を継承する事業として若手建築家及び学生の相互交流を考えていますが、これを具体的に進めるため曹氏の他、大手設計院の代表者や大学関係者との話し合いの場を持ちました。以下に相互交流プロジェクトの概要とスケジュールを説明いたします。

JIAが提案した次世代若手建築家育成支援企画についてASSCと協議しました。具体的には若手建築家・技術者の交換と、大学院生のための国際建築インターンシップの二つのプログラムです。対象者を広くし、日本の建築界の国際化を見据えたものです。これに対して、ASSCは非常に意義のある企画として高く評価しており、ぜひ実現したいと賛同の意向を表明しました。東京は世界の建築トレンドの発信地であり、有名な近代建築家の作品も多く、中国の若手建築家は常に注目しています。上海は進行中の大型開発プロジェクトが多く、常に最新の技術を取り入れることを求め、海外の優秀な設計者と協力しています。両都市は共に国際都市として、国際的視野の建築家育成に必要な条件と人材を呼び込む魅力があり、このプログラムは実現しやすいと考えています。

ASSCからは企画プログラムの評価、成果の向上のために、一定の実行回数と支援人数が必要との意見もありました。また、ASSCはプログラムの明確な目的が重要と考えており、二つの点に着目しています。一つは都市建設に必要な建築技術と文化の交流で、設計者はグローバルトレンドとローカル文化を同時に身につける必要があると考えています。二つ目は低炭素や環境エコ都市の開発手法や技術の開発です。
支援対象が若手建築家の場合、組織ネットワークを通じて会員企業・設計院への受け入れに協力していただけます。学生についても同様で、大学とコンタクトを取って受け入れ学生の情報提供も可能だと言われました。ASSCからはすでに実現した海外職能団体との共同プロジェクトの例を紹介していただき大変参考になりました。JIAとしても国内で他会に声をかけて受け入れ態勢を確立していくと同時に、若手建築家にプログラムの広報をしていく必要があります。

この作業を進めていくと同時に、今年度3つのシンポジウムを企画しています。
一つ目は6月開催の支部事業アーキテクツ・ガーデンの中で、支部と国際委員会共同で協議会を開催します。支部とASSCとの協定締結に伴い、今後のJIA、更に日本建築界の国際活動のあり方を考える機会になります。（6 月26 日（火）15:00-18:00 開催予定）
二つ目は9月にシンポジウムの開催を企画しています。これは海外で活躍している日本の大手設計事務所や建築家の事例について紹介、意見交換を行うものです。海外での活動の難しさや楽しさ、建築家の海外進出支援について情報提供できる企画を考えています。
最後に三つ目は、11月末のJIA横浜大会で、次世代若手建築家育成支援プログラムについての国際シンポジウムを行います。ASA、ASCを対象に進めているプログラムの同意と支援対象者の確定等の報告を行い、このプログラムについて他会や海外からの意見を聴き、問題点を検証することで、若い世代の育成を明確なプログラムとして確立することです。

UIA2011東京大会で得た収穫は、海外との実質的なパイプの形成と、国内他団体と協力関係を組むことができたことです。それを実質的な果実としていくのがこのプロジェクトの目的です。次世代建築家の後押しをするこのプロジェクトに、建築界の多くの方が興味を持ち参加していただけるよう期待しております。