コラム

2020.09.13

Vol. 58「集まって住む事への見直し その2(省エネルギー化の可能性)」

「集まって住む事への見直し その2(省エネルギー化の可能性)」

 日本の一般家庭の一世帯あたりのエネルギー消費量は1965年17,500MJ(メガジュ—ル)/世帯から2016年には33,300MJ/世帯へと約1.9倍に増えています。(*1)この間、世帯内の電化製品が増え、お風呂や冷暖房の普及など我々の生活が快適になった現れかと思います。更に、単世帯化・核家族化で住戸数と世帯数が増え続けている日本では、家庭の電化以上に住宅での総エネルギー消費量が増えているのは予想に固いところかと思います。一つの世帯の中にはその生活人数に関わらず、キッチンやお風呂・トイレなど生活設備が必要となり、使用する人数当たりのエネルギー効率は悪くなってゆきます。お風呂を一人で使うより、家族4人で使う方が少ないエネルギーで済む事は理解できるとことかと思います。

 この度のコロナ禍の中、リモートワークにより在宅勤務が進みますと、3度の食事も家族一緒に食べる事が可能となり良いと思う反面、食事の用意の負担は増えてきます。育児や介護に付いても家庭内での分担の必要がありますが、二世帯、三世帯、シェアハウスなど集まって住む事により、それぞれの時間やライフスタイルの中で補完する可能性が増し、省エネルギーにもなって行くかと思います。もちろん、集まって暮らす暮らし方には、いろいろな住人間の関係と設計の工夫も必要ですが・・・・

 つい50年程前までは。農家など同じ場所で働く事により大家族で助け合って暮らしてきた歴史が有ります。働く場所を特定しなくても良くなった現在、また集まって暮らす事を考えても良いかと思います。

*1:資源エネルギー庁エネルギー白書2018年より

中庭を介してゆるくつながる3世帯住宅(撮影:筆者)

記:大川 直治


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