コラム

2020.08.21

Vol. 54「中庭の効用(コロナ禍で改めて気付いた事)」

 自邸の話で恐縮ですが、我が家は敷地36坪に中庭を囲むコの字型の小さな家です。1階の半分が仕事場であり、各部屋は中庭を挟んで対峙しています。各部屋を繋ぐのは小さな玄関と階段のみ。各部屋は小さいけど、中庭を挟んで視覚的に敷地一杯の距離を見通せます。仕事場は将来どちらかが介護が必要な時にも機能するように、トイレと洗面、浴室を隣り合わせにしました。

 外から戻り中庭を通った先の玄関から入ると隣が洗面所(廊下がない)、在宅勤務対応(元々自宅兼事務所)やオンライン会議時の空間隔離、万が一の自宅療養時の隔離のしやすさ。そして各部屋に2か所以上の窓(各部屋、三面が外部壁)による換気。

 中庭については、今迄は各部屋への光や風の採り込みや、木を植えて自然を身近にする事に注目していましたが、各部屋のクッションとなる中庭の存在は、今回のコロナ禍の今後を見据えた住まいのあり方にもヒントがあるように思えます。

 また、実は自宅にいる時間が増えたので、この夏思い切って猫を飼うことにしました。子猫2匹はまだ目が離せられない時期ですが、我々が食事しているときは、中庭を挟んだ対面の仕事場に置いた猫のゲージを見守ることができて、これも中庭の効用だと思っています。

記:中澤 克秀

 

 リビングダイニングから中庭を挟んで仕事場を見る(子猫2匹の様子を離れた所から見守る)


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世界中を襲った新型コロナウイルスという大災害の中でのすごし方、そしてその後の暮らしや住まい、環境に対する意識や価値観は変わるのでしょうか。 住宅部会の 建築家達がリレー形式で、それぞれの視点で語ります。

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