コラム

2020.08.15

Vol. 53「郊外住宅地の可能性」

「郊外住宅地の可能性」

 2023年からは東京の人口も減少に転じると言われています。長寿命化により高年齢の人が増え、今後相続の時には、子供は既に住居を持っている事が多くその人達の住居が空いてきます。孫の世代が引き継ぐのか、売りに出されるのか?選択が急がされます。今後、住宅地の供給が増え、少子化により需要は減ってゆきます。ようやく土地の値段が下がってくるのかもしれませんが、同時に空き家が増加する事にもなってきます。現在でも東京の空き家率は10.6%(*1)、既に80万戸が空き家となっており、このまま増加してゆく傾向に有ります。特に高度成長時代に団塊の世代の人達が移り住んだ東京郊外が空き家だらけになって、ゴーストタウン化に向かうなんて心配もされていました。

 この度のコロナ禍の中、リモーワークが進み、居住地は必ずしも都心や駅に近いところでは無くても良いのではとの選択肢が出てきました。都心より広いとか安いとか替わる価値が有れば充分需要が有りそうで、東京郊外の住宅地が再び価値を見いだしてくるかもしれません。

 その時、選ばれ残ってゆく為には、住宅その物と住宅地のクオリティが大切になってきます。魅力ある街並、街路樹や各家庭の庭の緑、そしてその街並を保ってゆくことが出来る近隣のコミュニティなど・・・今からでも、自分たちのまちづくりに参加するような暮らし方も再検討する事が大切かと思います。

*1:2018年 住宅・土地統計調査(総務省統計局)

記:大川 直治

東京都国立市大学通り沿いのタウンハウス(撮影:筆者)

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