コラム

2020.05.28

Vol. 21「住まいの通風 」

今、私たちは「密集」「密閉」「密接」の三つの「密」を避ける行動が求められています。その中でもStay homeでは、「密閉」つまり「住まいの通風」が重要です。

徒然草の「家のつくりようは夏をもって旨とすべし、・・・」で代表されるように、現代の住宅でもあらゆる部位に隙間を作るように工夫されています。それ故に部屋を暖めるのが難しく「直接人を暖める」コタツが今も好まれている所以です。

1973年のオイルショック以降、断熱材が充填され始めましたが、木材の腐朽やカビ(*1)の問題も起きたました。それを回避する為に断熱材を気密性のあるビニル袋に入れ、更に高断熱住宅では隙間自体を無くすように工夫がされてきています。

隙間を測定するにはC値(㎠/㎡)(*2)という指標があります。1970年代の住宅のC値が4.0ならば隙間をなくす工夫をした住宅のC値は1.0~2.0になります。そして高断熱高気密の住宅のC値は0.5以下です。

通風と隙間風は異なります。2カ所以上の窓を開けて気持ち良く通風するには隙間がないことが重要です。人が快適にStay homeするためには建物が健全であることも大切です。

(注釈)

*1:木材の腐朽やカビの原因は外壁の内部に入った湿気が冬は外部側で、夏は室内側で結露することで生じます。

*2:C値は建物全体での延床面積(㎡)あたりの隙間面積(㎤)の値で気密性能の指標です。

記:寺山 実

外壁内部の湿気の移動と結露
                                            撮影:フォトワークス松田哲也

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