新幹線700系のデザイン 環境指向の造形をめざして

開催日:2010.04.10

講師:松本 哲夫

開催場所:自由学園明日館 会議室タリアセン

参加者数:

概要:デザイン開発を通しての社会的背景を含む解説と将来への可能性についての講演

東海道・山陽新幹線を700系の新車輌が走り始めた。そのデザインコンセプトは、沿線地域と客室のアメニティなど、車輌を取りまく内外の「環境改善」である。
一日の運転本数285本、乗客数にして約37万人。一便あたり約1,300人を運び、年間走行距離は4,600万km以上(東海道新幹線参考値)―これらが示すように、新幹線が日本の社会的にひとつの巨大システムと化した今、700系は何よりも「空力性能の向上」に挑まなければならなかった。
しかし、純粋に空気抵抗の低減を突きつめるだけでなく、デザインに求められたのは、沿線にもたらされる騒音と振動をどう緩和させるかが大きなテーマだった。
たとえば、トンネル通過時にトンネル内部の空気が圧縮されて生じる「微気圧波」というマッハ衝撃波や車体各所からの風切音などをどう抑えるかという問題である。TDO(トランスポート・デザイン・オーガニゼーション)が手掛けた700系のデザインは、「空気をいかに後方へスムースに流しながら走るか」の追求によって生まれた形態であり、複雑だが表情豊かなラインをつくり出している。(開催案内より)

(鈴木 和貴)

城北地域会特別講座 100410