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住宅取得希望者と工務店の「マッチングシステム」のトラブル

その相談は「寒いんです」から始まった。フラット35S、トップランナー方式を採用して、2014年3月末に竣工引渡しを受けた。引越しをした木造2階建ての戸建て注文住宅はとにかく寒い。今年の冬は1階にある寝室で熟睡できず、体調不良になってしまったということであった。
・天井裏、床下を点検すると断熱材の施工が施工前に聞いていたのと違っていた。
・隣地の施工業者から、床下浸水を指摘され、確認したら、床下に水がたまっていた。調べてみると基礎を貫通している配管廻りの隙間から浸水していた。(配管周りから漏る場合、コーキングでは劣化と共にまた漏るのでダメ。何らかの止水工事が必要)
・軒天の換気口が連続して設置されており、屋根裏から外の明かりが見える。
・冬に1階床附近の温度は外気温とほぼ同じであった。エアコンの設定温度よりも5度低い室温にしかならない。
・ 工務店は対応してくれない。

といった状況に対して
・希望した温熱環境が得られるように直して欲しい。
・第三者の工務店に不具合部分を修理してもらい、請求することはできるか。
という相談であった。

■対応
持参された写真から、気密性を保つための断熱材の納め方が図面と異なり、施工不良が原因と思われた。
温熱環境を改善する補修工事は、工事施工者が対応してくれないということであれば、第三者の工務店に見積を依頼し、内容証明等で工事施工者に通知した上で施工させ、工事費を請求することもできると思われるが、合意がなければのちに争いになり法的手続きを経ないと補修工事費が戻ってこないリスクもある、と伝えた。
なお、相談者のJIAへの建築相談の目的が現地調査を依頼することであったため、現地調査について書面で説明し、現地調査申込書を手渡した。

■問題点
工務店は、どのようにして決めたのか聞いたところ、インターネットで住宅取得希望者と工務店を仲介するシステムを見つけ、そこにアクセスして決めたそうである。決める前には、その工務店の評判を同様にインターネットで調べたら、「その工務店が建てる住宅は寒い」と書き込みがあり、マッチングする仲介業者に他の工務店に替えて欲しいとお願いしたが、仲介業者から「その工務店は、以前はそうだったけど今は違う」と言われ、そこに決めたという話であった。

「インターネット」はキーワード検索すれば、欲しい情報にたどり着けるので便利であるが、消費者に不利益になる場合も見受けられる。マッチングシステムは、住宅取得希望者にとって工務店を探すツールの一つとして有効であるが、情報の少ない住宅取得希望者にとって、提供される情報は正しいものとして判断されるため、媒体が提供する情報を疑ってみることも肝要である。今回の問題は工務店の提供内容が、図面と異なっていたことと施工不良に起因するが、依頼者自身及び、仲介業者による工務店の業務内容の確認に不足があったように見える。依頼者自身による情報確認の徹底と仲介業者に対しては、施工者の提供情報の確認及び引き渡し後の消費者からの評価を取り入れるなど信頼性のあるマッチングシステムを運営することが望まれる。

※フラット35S:省エネルギー性、耐震性などに優れていた住宅への借入金利を一定期間引き下げる制度。
※トップランナー方式:エネルギー多消費機器のうち省エネ法で指定する特定機器の省エネルギー基準を、各々の機器において、基準設定時に商品化されている製品のうち「最も省エネ性能が優れている機器(トップランナー)」の性能以上に設定する制度。

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