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相談事例

不同沈下について
 築10年のマンションである。平屋建ての玄関棟と11階建ての本棟とは伸縮継ぎ手(エキスパンションジョイント)で接続している。
 竣工直後から玄関棟が沈下しはじめて、継ぎ手部分の床の段差や、雨漏り、床タイルの破損等の不具合が発生している。施工会社によって数回補修が行われたがすぐに再発し、現在も沈下は進行中で、本棟との間に4〜5pの段差が生じており、不具合も解消していない。
 販売会社と管理組合との間で、「補修で対応する」との覚書を結んでいるが、来年で覚書の期間が終了する。原因と処置の方法と、業者への対応方法について相談したい。

 11階建ての本棟は杭基礎であるが、玄関棟は直接基礎で杭は使用しておらずべた基礎である。したがって、本棟は杭によって地下の強固な地盤に支えられているため沈下しないが、玄関棟はべた基礎直下の盛土によって支えられているため、盛土地盤が沈下すれば建物も沈下する。
 ボーリングデーターによれば、本件敷地は斜面を埋め立てた最近の造成地であり、14〜15mの盛土である。盛土地盤が沈下したことによって玄関棟が沈下し、本棟との間に段差が生じたものである。接続部分の諸々の不具合はそれが原因で生じているのであって地盤の沈下が終息しない限り再発する。また、盛土に使用した土壌や施工状況にもよるが、盛土の規模から類推して早急に沈下が終息するとは思えない。かような地盤に対し不用意に直接基礎を採用したのは重大な設計ミスである。
 施工者を除いた第三者の専門家による現状調査と同時に今後の対応を検討する必要があるが、覚書の期限を勘案すれば、早急の対処が必要である。
 交渉に関しては、法律面、技術面からも管理組合のみでの対応では困難であり、建築、法律の専門家の参加が望まれる。

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