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相談事例

不同沈下した建物の是正交渉
 相談者の自宅は木造枠組壁構造3階建てで築12年になるが、築7年目頃から建物が傾いているのに気付いたという。  
 現在、施工者とその是正について交渉中で、施工者は「設計段階で地盤調査(スウェーデン式サウンディング)を4箇所行い、今回も原因究明のために2箇所行ったが、合計6箇所のデータに殆ど差異は無く、共に3t/m2はある。この建物の布基礎は地耐力3t/m2として設計してあり、施工者(設計施工)側に瑕疵はない」と主張しているという。
 相談者が調べたところ、設計当時の建築学会や土質工学会の規定では木造3階建の布基礎に必要な地耐力は5t/m2かそれ以上必要となっていて、施工者の地盤に対する判断の誤りが建物沈下の原因であり、施工者に瑕疵があるのではないかとの相談。

 建物長手方向は各階共ほぼ9/1000の傾斜が記録されている。持参された写真の中には内外壁・基礎に目立ったクラックがみられないことから、建物全体が一方向に沈下したものと考えられる。
 地盤調査書によると、換算N値3~6に該当するのはGL−50cm以深の地盤のことであり、設計図に記載されている基礎底盤の位置GL−30cmの部分は換算N値1,5(約1,5t/m2)や2,3(約2,3t/m2)が混在する礫又はガラまじりの埋土と判断される地盤(GL0〜−50cmの範囲)であり、必要な地耐力3t/m2を期待できる地盤ではない。
 したがって傾きの主な原因は、河川直近の不安定な敷地地盤への配慮不足と、地盤調査結果に対する判断を誤ったためであると言わざるを得ない。
 念のために法律家に相談し、更にデータを補強したうえで是正工事を強く要求するよう助言した。

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