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(縁)取る建築
- 視覚的奥行きが揺動する建築空間の構築 -

氏名
小林 拓人
所属
東海大学大学院
工学研究科 建築学専攻
研究室
杉本洋文研究室
作品概要

 領域の境目に生まれる”縁”の存在に興味を持った。
異なる領域を連関させる縁は、空間の奥行き認識との関連が深いと考えられ、それらの関係性に着目した。奥行きには、実際の物理的奥行きと人の認識による視覚的奥行きがある。建築空間の輪郭線が弱まると、消失点の認識も弱くなるため物理的奥行きと視覚的奥行きとの間に歪みが生じ、実際の距離とは異なる認識が発生すると考えられる。
 遮蔽縁と呼ばれる視野を限定させる遮蔽面に発生する縁。不可視な領域を感じさせ、見えない先の空間を想起させることで視覚的奥行きが揺動すると考えられる。開口を複層させ、縁を強調する連続的遮蔽縁と、曲縁を複合させ縁を曖昧にする流動的遮蔽縁を用いて、可視領域と不可視領域の2つの領域への意識をつくることを【(縁)取る】と定義する。
 不可視な領域を持つ細街路で構成された路地空間が特徴の台東区谷中を対象敷地とし、滞在機能を備えたシェアスタジオを計画する。
 本設計手法は、視覚的奥行きの揺動を発生させることで、限られた敷地条件に実際の距離以上の広がりを齎すのに有効だと言え、【(縁)取る建築】は国有空間の行為の断片が重なり合い、相互の機能が緩衝する建築空間が構築される。

作品イメージ

作品ファイル

プロフィール

  • 略歴
    2015年
    東海大学 工学部建築学科 卒業
    2017年
    東海大学大学院 工学研究科 建築学専攻 修了