作品概要
現象としての建築 〜擬似乱数を用いた建築設計手法〜
氏 名
金子 典彦(Norihiko Kaneko)

所 属
東海大学大学院 工学研究科建築学専攻

研究室
上松佑二研究室

作品概要

 古来より人は、自然の空間の中を歩きまわり、自分に合った「場所」を探しながら、そこに建築を作りだした。これが最初の建築である。人は何もないところに建築を作りだしたのではなく、「場所」を感じ取り、それを利用することで、自分達の空間を作りだしていったのである。しかし、近代建築は機能主義の考え方に基づいて普遍性を追求し、「場所」という空間概念から乖離しながら現在の都市をつくりだしていった。これに対し、自然の空間においては、「場所」という空間概念が恣意的ではなく、あらゆるものとの相対性関係性の中で、一定の規則や過程によって生成される、ランダムで非均質性を持つ、一回性の現象である。このような一回性の現象として、一定の規則や過程をもとに建築空間を構成した。擬似乱数を二次元的にプロットして得た点の集合を結びつつ、建築の平面・断面構成を行い、均質ではない複雑な形態を作り出していく。本設計では、この手法を用いて横浜市新高島に臨海部居住住民の為の情報文化施設を計画した。形成された空間は、多様な「場所」をつくりだし、多様な「場所」を内包する広義の意味としての建築に変わっていくだろう。本修士設計では、人間に心的・身体的影響を与える「場所」という空間概念に着目し、多様な空間構成から抽象的な「場所」と人間の関係性を追求することによって、固定された空間そのものの性質を変容させる現象としての建築空間を提案した。



(PDF:1.3MB)

プロファイル
1982 神奈川県生まれ
2001 東海大学工学部建築学科 入学
    卒業設計「華氏Y11 −戦争の具象化による、希望としての建築−」

受賞歴:
第16回 JIA神奈川・大学卒業設計コンクール 奨励賞受賞
第37回 毎日・DAS学生デザイン賞 入選
「卒業制作2005」(近代建築6月号別冊) 掲載
2005  東海大学工学部建築学科(上松佑二研究室) 卒業
    東海大学大学院工学研究科建築学専攻(上松佑二研究室) 入学
    修士設計「現象としての建築 −擬似乱数を用いた建築設計手法−」
2007 東海大学大学院工学研究科建築学専攻 修了
現在 大和ハウス工業株式会社 デザイン・技術企画室(技術本部)に勤務

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