自分の考えるとおりに図面を引いてもらえば、それで建物が建つと考える方がいらっしゃいますが、それは誤解です。建築家の仕事はお医者さんと似ています。街の薬屋に行って「この薬を下さい」と言えば薬を買えますが、お医者さんに診てもらうのは、どこが悪いのか、それを治すにはどうすればいいのかを教えてもらうためですね。建築家が描く図面は、いわばお医者さんが書く処方箋のようなものです。 医者も建築家も、依頼者にたいして最善の方法を考えるわけですが、同じ病気を治療するのに内科と外科の先生では考え方が異なるように、建築家によって考え方が異なります。誰に任せるかを、自分で判断することが大切です。
さいわい建築家の場合には、これまで手掛けた事例を見ることができます。住宅などの場合には、実際に中を見ることはなかなかできませんが、雑誌やインターネットなどで写真を見ることは容易にできます。気に入った建物があったら、設計者をチェックしておきましょう。
もし実際に建築家に頼んだ知人の方がいたら、話を聞いてみて下さい。きっと、雑誌の記事などからは計り知れない、さまざまな生の情報を得ることができるでしょうし、建物を見せてもらうこともできるでしょう。なによりも依頼する建築家をいかに信頼できるかが重要ですから、実際に依頼した人の話を聞くのは、とても堅実な方法です。
建築家の多くはハウスメーカーや建設会社のような営業をしません。でも、訪れる人を拒むことはけっしてないはずです。ほとんどの建築家は、電話1本入れれば喜んで会ってもらえるでしょう。とにかく臆せず会いに行って話しをしてみることを奨めます(平日の夜に訪ねることも可能です)。建築の設計はあなたと建築家との二人三脚で行うものです。なによりも相性が合うことが重要です。これは、あなたと建築家とのいわば「お見合い」のようなものです。
建築家に会ったら、こんな土地にこんな建物をこのぐらいの予算で建てたい、できるかどうか、知りたいですね。でも、そういう話しだけでは「お見合い」になりませんね。相手がどんな人なのか知ること、自分がどういう人なのか知ってもらうことが大事です。その建築家の考えを上手に聞き出すことがポイントです。
会って話しをして信頼できると感じたら、率直に具体的な相談をしてみましょう。計画する敷地の所在地、土地の大きさ・形状・方位、道路など周辺の状況、計画する建物の要望と予算を伝えましょう。このとき具体的なプランはあえて提示せずに、建築家からの提案を引き出したほうが賢明です。ただし、ほんらい具体的な相談や計画の立案は建築家の業務範囲だということを心得ましょう。ですから、多少なりとも料金が発生すると考え、いくら費用がかかるか訊ねて下さい。
この建築家に任せられると思ったら、報酬額などについて業務委託契約をして設計に取り掛かってもらいましょう。設計は、基本設計から始まり、実施設計へと段階的に進みます。建築家への業務報酬はその手間に応じて発生しますから、途中で契約を解除した場合には、それまでにかかった手間に応じた報酬を払って清算することになります。
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