JIA Bulletin 2003年02月号/特別リポート

特集:JIAの周縁

              座談会

若手建築家とJIA

出席者:荒木 毅,亀井 正浩,宮 晶子,吉川 博行
司会 :森岡 茂夫(広報委員会副委員長・Bulletin編集長)
JIAではこれまで建築家の職能確立とそのための制度づくりを目的の一つに掲げてまいりました。2002年にはCPDが施行され,あらたな段階に入ったと言えるでしょう。しかし,JIA自身はほんとうに大丈夫でしょうか。会員の減少が続いている中,会員増強のキャンペーンをしているものの,問題の本質はなかなか見えにくいような気がします。
 今月号と次号では,JIAを取り巻く市民社会との接点に光を当て「JIAの周縁」と銘打って特集記事を掲載することに致しました。JIAや建築家について,若手の建築家たちはどう思っているのか,さらに市民はどう思っているのか。ここであらためてJIAや建築家を足元から見てみようという企画です。今月は,「JIAの会員構成の変化」についてのリポート,非会員も含めた「若手建築家4人の座談会」,若手建築家140人へのアンケートから「若手建築家からみるJIA」,市民100人へのアンケートから「市民からみる建築家とJIA」についてお伝えします。
亀井正浩氏 吉川博行氏 司会:森岡茂夫 荒木毅氏 宮晶子氏 荒木 毅 氏 
 所属団体
司会 今日は4人の皆さんに「若手建築家とJIA」というテーマで話し合っていただきます。実は,JIAには若手会員が非常に少ないんですね。関東甲信越支部に2300人の会員がいますが,その中で30代以下の会員はわずか30人,1.3%しかいません。なぜ若手建築家がJIAに入らないのか,それが今日のテーマです。まず始めに,建築関係の団体に入っているかどうか,お聞きします。JIAのお二人はJIA以外に会員になっていますか。
吉川 私は建築士会に所属しています。
亀井 私は日本建築学会です。
司会 JIA会員ではない宮さんと荒木さんにもお聞きします。
  やはり学会と東京建築士会です。
荒木 東京建築士会に去年入りました。コンペのために。
司会 そういう方は結構多いみたいですね。吉川さんと亀井さんは,建築士会と学会でどういう活動をしていますか。
吉川 私は全くと言っていいほど活動していません。
亀井 学会の方はありません。学部の時に準会員になって,それからずっとそのまま入会したままです。

荒木 毅 氏 
1957年北海道生まれ
荒木毅建築事務所主宰
東京建築士会会員
 会員になったきっかけ
司会 亀井さんと吉川さんは,JIAでどういう活動をしていますか。
亀井 私は建築セミナー実行委員会と教育委員会です。
吉川 建築セミナーの実行委員を来年から,ということになっています。
司会 宮さんは建築士会,学会での活動は。
  特別そういうことはないです。
司会 かかわりとしては,士会では,例えばコンペだとか何か。
  そうですね。コンペですね。コンペに参加したかったということと,建築家の賠償責任保険のことがあります。建築士会とJIAの方と考えたんですが,会費がちょっと高いので,コストだけを比べて建築士会のほうにしました。学会のほうは,作品撰集に出したいというのがあってそれで入った,という動機です。
司会 荒木さんは,士会での活動は。
荒木 いえ,何も。コンペに出すために入ったんですが,もうやめようかと思っているんです。
司会 亀井さんがJIAに入ったきっかけは何ですか。
亀井 今,所属してます建築セミナーがきっかけです。山下設計をやめて,少し時間ができたのと,小さい事務所になりましたので自分から外との接触を探さなきゃいけないということで,建築セミナーに1年間,受講生として参加しました。その後現委員の方から声をかけられ,セミナーの何かお手伝いをしようということで,そのためにはJIAに入会しなさいということで,それで入会したというのがきっかけです。
司会 じゃ,まず受講生として参加して,そこからJIAに入会したのですね。
亀井 はい。ですから,あまり外からJIAを見ることがないままに入会してしまったというのが,本当のところです。
司会 吉川さんはJIAに入ったきっかけは。
吉川 私も同じなんですよ。亀井さんの,実は前の年の建築セミナーを受講していまして,それでJIAに入会しました。
司会 荒木さんは建築士会に入会したのは,やはりコンペが一番大きな理由ですか。
荒木 そうですね。毎回コンペに出そうと思ったときに,士会以外の人は1万円だか5000円だか払ってコンペに出さなくてはいけなかったので,それだったら年会費払ってもいいかなと思いました。それから僕もJIA建築セミナーに,多分1984年か85年ぐらいに1年間通いました。レーモンド時代に行かされたんです。半額出すから,半額お前が出せって。
司会 そうですか。
荒木 違ったかな。全額出してくれたのかな。そのときはほんとに,いまだに思い出に残る印象深いセミナーだったですよね。そのときに講師で来られる先生方が僕にとって雲の上の人のような印象がありまして,そういう先生方ばかりが入るのが建築家協会っていう存在で,僕には全然関係ない世界っていう印象は,そのときに受けました。それ以来ちょっと近寄りがたい場所でもあるんです。
司会 JIAセミナーを受講した方が3人もいるのは大変うれしいですね。吉川さん,JIAに入って,活動をしてよかったなと思ったことはありますか。
吉川 特に建築セミナーの活動ぐらいしか,私はなかなか活動らしい活動というのはしてないんですが。やはり荒木さんが言ったように,それまでは雲の上の人という存在だった人たちと直接お話ができるというのは,恐らくJIAのこういう活動をしてなければ,なかなか普段はできないだろうなという。そういうところでは非常に,やっていたおかげでということはあると思います。
司会 亀井さんはいかがですか。
亀井 私も,そこが委員側に立ったときのうまみというか,面白味だと思うんですね。企画側に立った方が面白いことがたくさんあって,有名な先生方と直接お話ができたりとか,セミナーに参加する側の受講生たちが何を考えているのかというのがわかるとか,そういうことがすごく企画側に立つメリットだと思うんですね。それともう一つは,事務所を自分で開いているというのもあるんでしょうけれども,内にこもってしまうようなベクトルの方向があって,そうじゃなくて,もっと外に向けることで吸収できるようなことはいっぱいあるんだというのが,JIAに入ったことでより明確になったというか,そういう部分に気づかされたというのは,JIAに入っていろいろ活動していく中で,いろんな方々とお会いする中で,得られたことだと思いますね。

亀井 正浩 氏
1963年東京生まれ
亀井建築設計事務所主宰
JIA会員/日本建築学会会員
 団体に入るメリット
司会 お聞きした限りでは,まずこういう団体に入るメリットの一つに,ほかの建築家と情報交換できるっていうのがあると思います。
荒木 僕の場合は住宅の仕事が99%なんですよ。確かに一人で閉じこもりそうになった時期があったのですが,閉じこもっちゃいけないと思い,若い人からも刺激を受けたいと思って,自分の事務所で勉強会というのを3年ぐらい前から始めました。インターネットで呼びかけて,その都度参加したいという人が集まって何となく話し合うだけなんですけれども。今来ているのは自分で事務所を開いている人とか,あるいは学生とか,学生でも違う学部の方とか。そういった方と,月に一度ぐらい集まって少し満たされた部分があります。それともう一つ,最近,住宅のプロデュース会社というのが幾つかあります。そういったところで,例えばコンペ形式でやる場合とか,あるいは紹介の場合でもプロデュース会社で何か集まりがあったときに,住宅で活躍している割と同年代から若手,あるいは年上の魅力的な建築家の方と知り合う機会ができます。そのときお話をして,友達になっちゃったりなんかして。それで酒を飲みに行ったりとか,お話ししたりとかっていうのをこの1〜2年始めたら,割と友達がふえてきまして,そういったところでも少し満たされている部分もあります。

宮 晶子 氏
1963年兵庫県生まれ
スタジオ2A主宰
東京建築士会会員
/日本建築学会会員
 JIAの対外活動
司会 核心に入っていきたいんですけどね。外への働きかけっていうのがJIAに欠けていた部分があると思うんですね。諸先輩に,建築家協会に入ることがステータスだった時代があるんですかって聞くと,いや,そうじゃないと,きっぱり言います。昔からきちっと問題意識を持って入っていたんだと先輩方は言います。そこで30代でJIAに入ったおふたりが,今JIAに感じていることを聞かせてください。
吉川 もっと外に発信をしていく。やっぱりJIAという存在自体が,多分,一般の方はよくわからないと思います。例えば建築士会や建築士連合会という団体は,結構知ってる方はたくさんいるんじゃないかと思うんですね。その違いが何かというのは,会員数の多さというのはもちろんそうなんですが,外への働きかけというのは,多分,非常に強力なんじゃないかという気がします。そういう意味で,JIAっていうのは割とその辺が,まだこれからという感じがするんですが。最近「JIAニュース」がリニューアルされて,ゆくゆくは一般書店で販売をしでいきたいそうですが,今すぐにでもするべきじゃないかなと僕は思います。今ちまたでは,建築家というものブームになってるぞというのは,ありますよね。そういうところで,逆にJIAがそれを利用しない手はないんじゃないかというふうには思ってまして。その辺をもっと利用するべきだということと,あとは,このブームの揺り返しっていうのは必ず来ると思うんですが,そのときにJIAが何をするべきかっていうのは,ちゃんと考えておかないと。恐らくこのブームが終わった後で,建築家っていうものに対する世間の見る目というか,一般的な評価というのが,かなり下がってくることがあるだろうというふうに僕は考えているんですが。そのときJIAが何をすべきかっていうのは,やっぱり考えなきゃいけないと思います。そのためにも今から,もっとJIAが外へ働きかけて,例えばCPDの話なんかも多分つながってくるんだと思うんですけれども,建築家というのはこういうことをして,こういう人なんだと。こういうものを目指しているとか,そんなようなものをちゃんと発信していく必要があると思います。
司会 何か,その発信の方法で,具体的なアイデアはないですか。
吉川 まず,取っかかりは,例えば「建築家archi-tects」を一般書店での販売っていうのは,僕は非常にうまい。タイミングさえ合えば,それがキーになるんじゃないかという気はするんですが。

吉川 博行 氏
1964年埼玉県生まれ
CDI青山スタジオ共同主宰
JIA会員/埼玉建築士会会員
 建築セミナー
司会 JIAの対外活動の中で一番成功している事例の一つが,建築セミナーだと思うんですね。亀井さんは,今,副委員長ですね。どうですか。JIAに対する提案は。
亀井 セミナーはJIAを知ってもらういい機会だと思っているんですね。もちろん,会員の方がたまに受講生になることはありますけど,ほぼ会員外の方が,まず取っかかりとして入ってこられます。その中には学生ももちろんいますので,そういう意味ではJIAを知っていただくいい機会になっていると思います。今の建築セミナー実行委員会でよく話しているのですが, JIA会員外の方がセミナーを受けた場合,JIA会員になるときに何らかの特典にするのも一つの手なんじゃないかというようなことがあって。つまり予備軍がいっぱいいるのに,どうしてJIAの会員になってもらえないのかというところになるだろうと思うんですけれども。そういう意味では,少し何か工夫をすれば,数は少ないでしょうけども,毎年毎年,もう20何年つながってますので,そこからJIAの魅力をわかっていただけるような門戸の開き方っていうのは,僕はあると思いますね。
司会 対外的な働きかけとして,一般市民に対する働きかけ,それから建築を目指す学生への働きかけ。もっと,その以前の小中学生のところのレベルまで働きかけなきゃいけないっていうのもあります。それから,建築大学を出て実務についている若手建築家への働きかけ,たくさんあります。もっと具体的に我々が提案して,新たな方向を見つけなきゃいけないと思います。
 JIAと若手建築家
司会 JIAの会費について聞きます。会費は高い?(笑)
吉川 会費が高いというのは,もちろんそうなんですが。会費を払って会員であるということに対して,確かに実利的なメリットとしては,あまりないですね。いろんな活動をすることでネットワークとかは広がっていくと思うんですけれども。例えば,JIAの会員になりませんかと勧めるときに,アピールポイントが少ないというのは非常に感じるところですね。例えば友人に,JIAの会員にならないかと言ったときに,じゃ,メリットは何があるの,と必ず聞かれるんですが,非常に説明しにくいというのはありますね。それもあって近い世代の会員が少ないのかなとは思います。お目にかかるのも,皆さん先輩の方がほどんどで,世代的に大分離れてしまっている部分というところもあって。私と亀井さんは同い年なんですが,この年代が本当に周りでいないという。
亀井 さっき1.3%,30人と聞いて,私の周りで30代の方が30人もいるかなと思って。逆に10人もいないと。
 私は商工会議所にも所属しています。商工会議所には青年会議所っていう,商工会議所の前段階があります。若手でばりばりやっている,頭に立ってやっている,いわゆる予備軍っていう人たちがその中で活動してきて,それを引っ張って上の組織へ行くっていうのは,組織としてはうまいやり方だと思うんですね。JIAという一つの組織の中で,若手が引っ張っていくシステムは,うまくいけば活性化にはつながるのかなというふうに,外から見ると気がつかされる部分が非常にあるんですね。
司会 一つのアイデアなんですけどね,建築を目指す学生だとか,既に事務所に勤めている若手の建築家が自由にここに出入りできるようにしたら,どうですかね。何か具体的なお手伝いもやってもらう。例えば,イベント,模型展をやるときには,その人たちにアクティブに動いてもらう。敷居の高さを取り除いて,若い人たちに自由に参加してもらう。そういうことをどんどんやっていくのも,JIAが認知される,身近に感じてもらう一つの手なかも知れないですね。そのために,やっぱり皆さんのような若い知恵が必要なんだろうと思うんですよ。そういう提案を,ぜひ,していただきたい。
亀井 男の子の将来なりたい職業の中に,二番か三番に大工さんが入ってたんですね。彼らなりには,ある程度魅力を感じて大工さんになりたいというふうに思っています。そこに建築家が入るようになれば,いわゆる小さい頃からの語りかけがあれば,もうちょっと違う方向になるという気がします。

森岡茂夫
広報委員会副委員長
Bulletin編集長
 医者と患者,二つの顔
司会 そうですね。渡辺誠さんが最近書いた本の中で「アーティストは,社会の医者ではない。むしろ患者に近い。だれよりも早く罹患して,未知の病原体の流行に警鐘を発する患者」だ,と書いています。我々,ものづくりをしようとする者は,医者と患者という両方の顔があって,日常業務の中では,きっと患者に近いんだと思います。我々建築家っていうのは,黙っていれば,誰にもかかわらずにものづくりに専念したい。それが一番楽しい。金をもらえるからやっているかっていうと,金をもらえなくてもやっちゃう部分というのは,荒木さんないですか。
荒木 それは,面白い仕事であれば,設計料とかあんまり気にしないでやっちゃうってのが,ありますよね。
司会 で,渡辺さんが何を言いたいかっていうと,我々には二つの顔があるんだと。日常の業務は恐らく患者に近い。わけのわからない,この辺にある小さな紙切れにも何かを書き始めるような,変な人ですよね。ところが,一般の市民からは医者としての役目も期待されているんだと思うんですね。それで,若手建築家がなぜJIAに入らないかという理由の大きな一つに,やはり今一番とにかくチャンスさえあれば設計をしたい,ものづくりをしたいって意欲に燃えているんじゃないかと思うんですよ。宮さん,どうでしょうか。
  そうですね。その比較がちょっとよくわからないんですけれども,何しろ日常の業務というか,設計したりですとかいうことで,日々楽しくやっているという感じですよね。
司会 ね。経済行為だっていうふうにとらえれば,きっと,もっと早く見切りをつけるはずなんですよね。
  そうです。それこそ話に出ました設計料のことですが,積み上げ方式でやると,とんでもないお金になってしまって,とてもじゃないけどパーセンテージで算出しないと,積み上げたら,家と同じぐらいの額になってしまう。住宅の場合,特にそうだと思うんです。膨大なエネルギーがかかって,本当に時給にしたら雇っているバイトの人よりは低いんじゃないかっていうような活動です。でも楽しい。
司会 純粋に経済活動として考えたら,恐らく日本のあらゆる職業の中で最も経済効率が悪い部類に入る。
  そうだと思います。
司会 今の若い方は建築学科を出て,銀行だとか勤めたりする人もいるそうですが。
吉川 私のころはちらほらといましたね。
司会 恐らく,今,その人たちと連絡をとってみてください,同じ年度に同じ学科を出たのに,もう,自分よりもはるかに高い給料を取るという。
  それはもう,一般的にそうです。
司会 そういう,延々長い時間,我々は低い給料にずっと我慢してきたんですが,このままの状態が続けば,決していいことじゃないですよね。今,申し上げたとおり,建築家っていうのは給料がなくても,また夜中まで徹夜させられても,やっちゃうような人種が集まっているわけで,それは創作活動の中では自分の充足感があっていいのかもしれないんですが,渡辺さんが言っているように,それは患者としての建築家であって,一般市民からは医者としての役目も期待されているんだと思うんですね。二つある顔のうち,医者として求められている顔で活動する場が,私にとってはJIAだと思っているんです。
吉川 そうですよね。基本的には,患者と医者という二面というところまで極端かどうかわからないんですけれども,患者のままでいてはというか,とにかくお金がなくてもいいから設計がやりたいという意欲だけでは続かない部分て,どうしても出てきてしまうと思いますし,やっぱり仕事をするからには,その仕事に見合っただけの報酬はもらわなきゃいけないという,そこの部分が,多分,建築家とアーティストの違いだと思うんですね。あともう一つ,圧倒的に僕は違うと思うのは,建築家は人のお金を使って仕事をしますが,アーティストは別に自分で持ち出してもいいわけですね。その意味で,社会に対してというか,自分以外の人に対しての,持つ責任というのは全く違うというふうに思ってるんですけれども。その辺の,いわゆる負わなければいけない責任というところを,その部分の一つとしてのJIAという組織があるべきだというふうには,やはり思います。ですから,医者としての顔での活動がJIAというところは,全く私も同感だと思うんですが,いわゆるアーティストとして活動をしたいと思っている人がいるかどうかは,ちょっとわからないんですけれども,その辺を結構,外の人は同じように見ている人が大多数だなと。要するに建築家と言われている人は,みんな芸術家で,とにかく好きなものをつくってしまうというふうに見ている人が,非常に多いんじゃないかというふうに僕は思ってるんですが。それは,やっぱり違うんだよということを,ちゃんと発信しなきゃいけないんじゃないかという気はします。

 JIAに望むこと
司会 じゃ,最後に宮さんと荒木さんに。どうでしょう,JIAがこうだったら私たちは入りますっていう,何か一つでも提案があればお聞かせください。会費がゼロなら,それでも結構ですよ。
荒木 入るか入らないかは,わからないんですけれども。CPDの中で,建築家としてのベーシックな知識や技術をセミナーでやっているなら,そういうのは受講してみたいという気持ちはあります。日々の活動の中で,ついうっかり抜けていくこととか,新しく出てきたことの知識が足りなかったりっていうことが……。それを補強,補充していきたいという気持ちはありますけれども,ただ年会費7万2000円でと言われるとつらいかな,そのセミナーだけ会費を払って受けるのなら,ま,受けてもいいかな。
司会 でも,事務所協会がやっている大臣指定の講習会なんかでも1万とか2万,取りますからね。
荒木 ああ,そうか。
司会 宮さん,何かありますか。
  今,おっしゃっていたことだと思うんですけれども,建築家に頼むと作品をつくられるんではないかっていうような,すごく懐疑心というか,頼みたいけれども,一方ですごく不安を抱えていらっしゃる方がいる。建築家っていうのは,何も自分の作品をつくろうと思ってやっているわけではなくて,今の社会を見て,だけど今までにない新しい,人の生活にとっていいことであったり,今の技術の中でいいことであったり,ちょっと未来を見ていることであったり,あるいは失われた過去を見ていることであったり,いろいろそういう,人のために何か提案をしている人たちだと思うんですね。それこそ,お金のためだけではなくて。やっぱり理想を求めている人たちであると思うんですね。作品のために自分の家をやられるのではないかっていうような,今まではそういうケースもあったのかもしれないんですけれども,そうではないことのほうが多分,多くの建築家の共通していることだと思うんですね。社会のためだったり,人のためだったり。それはあるいは既成概念を崩すものだったりするので,一般の方からは抵抗感があったりとか,あるいは作品だと思われたりとかすると思うんですけれども,現実,今,世の中にあふれているものというので満足できてる状態ではないと思うんですね。それを何とか,経済行為には変えられない莫大な作業量の中で,いい生活をつくろうということを考えているのがいい建築家と言える人たちだと私は思うんです。ですから,そういうことをしている人たちなんだっていうことを,もっとわかってもらいたい。アートとか作品とか,そういう言葉で片づけられることではないと思うんです。だから,そういう活動をやっている集団であることとか,それはどういうふうに社会にフィードバックされることであるかとか,それはどうやって人の生活を豊かにしていくことであるのかということが,もっと伝わってほしいですね。例えば建築学会賞ですとか,JIA新人賞ですとか,そういう賞のことが一般の新聞に載るということはあまりないと思うんですね。それから新しい美術館ができたとしても,設計者のことを書いてある記事っていうのはすごく少ないと思うんです。建築界では話題になっている新しい試みや提案があるにもかかわらず,これぐらい大きな席数の劇場ができました,美術館ができましたってことしか新聞には発表されてないことが多いですよね。空間というのは,本来すごく人の生活のベーシックなことに影響していると思うんです。子供たちの精神面だったりとか,思い出だったりとか,記憶だったりとか,ものすごくいろんなことに関係している大切なことだと思うのです。そういうふうなことを一個人ではなかなか発信できない部分もあるので,社会に対して建築や建築家のそういう存在や活動を紹介してくださって,そのような建築家としての活動をしている人を,例えば認めていくとか。CPDのことはよくわかりませんが,単に点数をつけていくような,そういうところが建築家協会ってことは,あまり……。一般の方から見ても,相変わらずわかんないことだと思うんですね。CPDで何を受講しているからって一般の人が見ても,それこそわかんないですよね。そういうのではなく,建築家の必要性をより多くの方に感じてもらえることに対する活動とサポートが機能するということであれば,参加をするモチベーションというのも上がってくるかなというふうに思います。
司会 大変うれしいですね。何か接点が見出せたような気がします。今日は本当にありがとうございました。
(2002年12月10日火曜日JIA館にて)



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