JIA Bulletin 2002年10月号/海外リポート


UIAベルリン大会と研修旅行

 

倉 橋 潤 吉

 UIA Belrin2002大会に参加しました。今年度のJIA事業計画の大きな柱の一つである2008年のUIA大会の東京誘致に多少なりとも役立ちたいと考え,まためざましく建設をしているベルリンを見たいと思い,本部で企画したUIAベルリン2002参加&ヨーロッパ建築視察のスイス・ズントールコースに参加し,そののち支部で企画したUIAベルリン総会出席&ベルリン都市建築視察のグループに合流して視察してきました。
 最大の目的であった東京誘致は関係された皆さんの献身的な努力にも拘わらず,3回目の決選投票で9票の差で惜しくもトリノに敗れました。誠に残念でした。
 UIA大会および総会に関する報告は本部から詳細に報告されると思われますので,この機会に印象を受けたことを断片的ですが私なりに記したいと思います。

 大会は世界の各国の建築家が一堂に会して種々議論をし,考えを世界に発信する場でありますが,今回初めて参加してもっと幅広いものであることを実感しました。何回も参加している方は何だそんなことも知らなかったのかと笑われるかもしれませんが,今回の主会場のICCベルリンは広大なコンベンション施設の中にあり,そのコンベンション施設で大規模な建築に関連するハード・ソフトの展示会が大会期間中開かれており,建設関連の一大イベントであることを実感しました。その展示が実に洗練された,内容,方法,サービスでしたし,建築家の興味をそそるものでありました。大会に参加した者はこれを見ることができましたが,後半の総会に合わせた支部の一行は残念ながら見ることができませんでした。本部で当初計画した各ツアーの案内にこの展示会の情報があれば,もっと会員のみならず賛助会員も含めて面白い視察団の構成ができたのではないかと惜しまれます。それほど見ごたえのあるものでした。
 今回,支部が企画した視察団の大きな目的は2つでした。第一は6年後の2008年にUIA大会の東京誘致の実現に向けての協力であり,第二はこの機会にめざましい活力で建設され,また建設中のベルリンの新しい建築を通して地球環境や都市計画への取り組みなどを正会員,賛助会員が一緒に研修することでありました。

 盛況だった誘致活動
 東京誘致は前述のように惜敗に終わってしまいましたが,我々支部の正会員,賛助会員の活躍ぶりを報告したいと思います。
 大会は7月22日から26日まで,また総会は27日から始まり29日の選挙で終了のスケジュールでした。JIAの誘致活動は展示やホスピタルルームを設けての活動の他に3つのイベントを計画していました。まず7月23日夜の日本大使主催のレセプション。次に総会初日7月27日の東京都主催の昼食会と,選挙前日7月28日夜のJIA主催のパーティであります。
 23日の日本大使主催のレセプションも,27日の昼食会も予想以上に大勢の世界各国の建築家が出席して成功裏に終わり,いよいよ選挙前日28日の夜のJIA主催パーティが最後の仕上げといったところです。我々の目的はこのパーティを盛り上げ成功させることでした。
 準備は東京を出発するときから始まりました。出発の約1週間前の7月18日にほぼ全員の参加者がJIA館に集まり,結団式を行い,色々な役割を正会員はもちろんですか賛助会員の方々にもお願いしました。
 JIAパーティは「Sushi & Sake Tokyo Night」と銘打ち,寿司を会場で握って提供し,日本酒はもちろん,松原支部長の発案で,津軽三味線の若き女性アーチスト「あんみ通」を同行しパーティを盛り上げようと計画しました。
 まずは酒を升で飲んでもらい土産に持ってかえってもらおうと,升300個にお土産にする手拭いと,成田空港で酒(樽酒も)を調達し,経費節約のため,参加者全員で手わけして持ってベルリンに出かけました。
 いよいよ当日28日(日)それぞれ升とお酒をもち,「Yes Tokyo」のTシャツをきて7時にパーティ会場のソニーセンターに集合しました。会場はヘルムート・ヤーン設計のソニーヨーロッパ本社6階のアトリュームです。ソニーセンターの奥まった位置にあるため,ゲストをスムースにお迎えしたいと,正会員と賛助会員が4,5名が1組になって3,40分交代で1階のソニープラツァを中心に案内のパネルを持って案内に立ちました。
 夜8時から始まったパーティは,このような会員全体の協力のもと,国広ジョージ本部広報委員長の名司会,津軽三味線のパンチある演奏とSushi &Sake,そして日本人全員のお持てなしの心が相まって,盛況のうちに11時に無事終了しました。カラになった樽も300個の升も,一つ残らずきれいに持ってかえっていただきました。パーティは大成功であったと思っています。しかし結果は前述のような残念な結果でした。

 研修旅行
 第二の目的の研修は,27日は全員バスで新しい建築を中心に視察しました。バウムシューレンベク・クレマトリュウム(シュルテス&フランク),オリンピック・ヴェロドローム&水泳ホール(ペロー)ドイツ連邦新国会議事堂(フォスター),ギャラリー・ラファイエット(ヌーヴェル),GSW管理本社(サヴァーブルヒ&ヒュットン),AEGタービン工場(ベーレンス),中心街のクーダム通りに面してあるマーフィ・ヤーンの3作品(クーダム70・クーダム116・カンツァー),北欧5カ国大使館(全体構想,ベルガー&パルキネン,他)を視察しました。
 28日は日曜日で,数グループに分かれて,ユダヤ博物館(リベスキンド),アルテス・ムゼウム(シンケル),ハンバーガー・バーンホフ現代美術館(クライフス),ナショナル・ギャラリー(ミース)などを自由に見学しました。
 29日は,ガートナー社の技術者の案内で,ベルリン証券取引所・商工会議所(グリムショウ),ドイツ銀行(構想トノン・実施メエナー),DG銀行(ゲーリー),そして,ポツダム広場の中心プロジェクトのソニーセンター(マーフィ・ヤーン)およびダイムラーシティ(ピアノ,ロジャース,磯崎,モネオ他)を全員で視察しました。
 これらの建築を通して最も印象に残り,かつ考えさせられたことは素材としての「ガラス」でした。詳細はスペースモデュレーター87号を参考にしていただきたいと思いますが,実に多様に,また独創的に使用しています。機能的には出来るだけ自然換気を追求し,エネルギー消費をおさえるために,ダブルスキンを色々な手法で駆使しており,ファサードの特徴を創っています。またガラスを支持するフレームや金物のデザインも洗練されているし,ガラスの大きさや合わせガラスによる大型曲面ガラスの製作やエッチング・ガラスなどに技術上でも,優れたものがあると感じました。

ゴスラーの新しい建築
ヴェルニゲローデの町並

「木組みの家」
 また,ベルリン滞在の時間を利用して,友人二人とドイツ・ハルツ地方の「木組みの家」が大切に使われ保存されている小都市,ゴスラー(Goslar)とヴェルニゲローデ(Wernigerode)を訪ねました。
 ゴスラーは銀鉱の採掘に伴って発展し11世紀皇帝ハインリッヒ3世が居城を建て,一時はドイツの歴史の中心となった町で,16世紀ごろ最も繁栄し世界遺産にも登録されています。ヴェルニゲローデは,よく霧がでるので古くから神秘の山とされてきたブロッケン山の麓にあり,ヴェルニケローデ伯爵が12世紀に建てた居城のある街です。
 二つ共,街全体が本当によく保存され現在も使われていることが素晴らしいと思いました。泊まったホテルも木組みの古い建築ですが,インテリアは現代の感覚に合ったものに見事に改修し現在に生きています。外観は出来るだけ保存し町並みをきれいに保持して行こうとしている意思が強く感じられました。中には新しく建築したものもありますが,これも見事に町並みに調和しています。そのテクニックとして,形状,材料など屋根全体を大事にしていて,古い町並みと全く違和感無くとけ込んでいます。
 サステナビリティーが最も重要なテーマである我々には非常に参考になる経験でありました。
 終わりに参加された正会員,賛助会員の皆さんご苦労さまでした。そして本当に有り難うございました。

 

〈(株)日総建 顧問〉

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