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なぜ、いま、『信州の建築家とつくる家』か
住宅建築に関わるプロと言われる人はたくさんいます。ハウスメーカー、工務店、大工さん、そして設計者…。そのなかで「建築家」は、まだまだ少数派です。いったい長野県内にいる建築家の存在や果たしている役割を、何人が知っているでしょうか。残念ながら、ほとんど知られていないのが現状です。家を建てたいと思う人が、建築家にたどり着くまでの道のりはまだまだ遠いのです。
しかしまた、「家づくり」は、変わり始めています。これまでの画一的な家づくりから、もっと家族の「生き方」「暮らし方」に沿ったオリジナルな家づくりへ、消費者のニーズも変わってきました。こうした家族のあり方はもちろんのこと、単純にデザインや価格だけでなく、環境・景観・サスティナブル・地域のコミュニティ…さまざまな視点から総合的に「家づくり」を考える時代になってきたのです。
ここに、地域の建築家が存在する理由があります。地域に根ざした建築家だからこそできる家づくりがあります。地元を知っている建築家とつくる家は、大切な「何か」が生きている…。
(社)日本建築家協会JIA 長野県クラブ(会長 高橋重徳)では、こうした現状のなかで建築家自らが本当に消費者に役立つ情報を発信していくことが社会的使命である、という考えから1999
年より「愛と情熱の家づくり」シリーズを発刊してきました。今回の『信州の建築家とつくる家』で第3集になります。都市圏のJIAを除く地方のJIAクラブで、これだけの事業を続けているところは他にありません。第1集・第2集・第3集と積み重ねてきたこの出版事業は、JIA
内の高い評価のみならず、長野県の「家づくり関連業界」のボトムアップにもつながっているのではないか、とひそかに自負しております。
今回の3集は、ホップ・ステップ・ジャンプの「ジャンプ」の号です。家づくりに迷う消費者はもちろん、供給者側である、技や文化をなんとか受け継いでいこうとがんばる地元の職人さんや施工業者の皆さんに、一石を投じる本になっているのではないか、と思っています。
ムーブメントとしての「愛と情熱の家づくり」シリーズ
今回の本には、37 名の作品を掲載していますが、単なる作品集というのではなく、37 通りの熱い思いを情報として集めています。建築家のプロフィールには、一人ひとりの個性や流儀を知っていただくために、代表作品はもとより、血液型や趣味、星座なども紹介しました。その理由は、家づくりは単なる買い物ではなく、人生の過程における重要な営みであるとの考えからです。建築家と施主の出会いも、まさに人と人のつながりです。
JIA 長野県クラブ発刊の「愛と情熱の家づくり」シリーズは、ただの本づくりではなく、ムーブメントでもあるのです。私たちは、これからも消費者の役に立つ情報を発信しながら、未来を見据えた家づくりのあり方を、消費者の皆さんといっしょに考えていきたいと思っています。これからの地域づくり、景観づくり、コミュニティづくりなどを考えていくとき、建築家が関わらなければならないことがたくさんあります。県産材の流通のこと、子供たちが自由に安全に遊べる場所づくり、高齢者が夫婦だけで快適に暮らす終のすみか…いろいろな問題に欠かすことのできないのが建築家の存在であると確信しています。
現在、JIA 長野県クラブは正会員が70 名以上になりました。これらメンバーのひとり一人が、これからの地域づくり、家づくり文化の担い手でもあるのです。
本に託した建築家の思いと姿勢
本を作ることが決定し、実際に発刊になるまで、約1年がかりです。JIA長野県クラブのメンバーが、フォーマットづくりから原稿づくり、資金集め、配布・販売、PR
にいたるまでを行っているからです。パートナーシップでつながれている賛助会(会員数約64 社)の皆さんにも加わっていただき、思いを同じくする仲間として協同で作業を進めてきました。こうした編集制作作業を通して、JIA
長野県クラブは、自分たちの役割や目的を確認しあい、議論を交わしながら共に学んできたわけでもあります。
今回の本は、表紙に「あなたのつくりたい家は展示場で見つかりましたか」というメッセージコピーを入れました。消費者への問いかけです。答えは…本の中にあります。
巻頭の第1特集では、建築家と家をつくるとはどういうことなのか、ということについて、消費者の目線に立った「Q&A」を作りました。第2特集では、県産材を使って家をつくる意義についてまとめました。県産材の利用については、当会の事業としても取り組んでいるテーマでもあります。37名の会員がそれぞれ作るページでは、単なる作品紹介ということでなく、今の段階での37名分の家づくりに対するメッセージが散りばめられています。巻末に掲載した「建築家が本音で語る座談会」では、普段、私たちがどのようなことを考え、どのような努力をしているのか、といったことがわかっていただけると思います。巻頭言では、会長がメンバーの思いを代弁して、会がめざす家づくりの姿勢を述べました。
こうした思いをお酌み取りいただき、長野県で唯一の、「建築家の、建築家による、建築家の本」として「信州の建築家とつくる家」発刊の意図を伝えていただければ幸いです。
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