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 JIA Bulletin 2013年10月号/アーキテクツ・ガーデン2013 基調講演

アーキテクツ・ガーデン2013 基調講演
「建築の現在・継承・襲名」

鈴木 博之氏
建築史家
鈴木博之氏

■講演要旨
 建築は無からの創造のように錯覚している人もいるが、そこには必ず歴史が触媒となっている。都市の構造においても、江戸の街は京都の街の見立て、延暦寺を寛永寺などで構成されている。江戸から東京になり、丸の内周辺の近代建築は背後に超高層という形で近代建築が保存され、再開発されてきた。三菱1号館、明治生命館(三菱2号館の跡地)、丸の内ビル、工業倶楽部、銀行協会など。オーセンティシティを意識した保存からイメージの継承にいたるまで、各プロジェクトで多様な手法が取られてきた。東京の多くの建物が2代目、3代目、4代目、5代目。写真は東京駅周辺の建物でこの20年で再開発されたもの。超高層も含め、首都でこれだけ多くの建物がこのような短期間で再開発されている都市は世界でも珍しい。
 歌舞伎座の再開発については、保存ということではないかもしれないが、生きた文化財の襲名ともいうべきものか。このような手法も日本ではある。
 国立競技場のデザイン提案では色々な提案があった。今回はデザイン提案なので、要綱書に示された技術基準は必ずしも審査の対象ではなかった。むしろ、東京オリンピック招致に向けて、東京にどのようなコンテクストを入れるのかということが審査で議論された。当選案のザハ案は、その技術的挑戦課題も含め、丹下が当時日本の技術の粋を集めた建設した代々木体育館へのオマージュとも解釈でき、圧倒的に優れていた。



1970年代中頃の東京駅とその後再開発された建物


東京駅正面広場整備完成予想図



新国立競技場 ザハ当選案


■会場との質疑要旨
 一般の人からも含め、会場から多くの質疑が出ました。保存というものを日本でどのように考えるべきかという質問が多く出ました。先生は「これら日本の保存に関連する再開発事例は欧米での保存の概念とは異なる。他方、これが日本の文化だと単純に解釈することも違和感を感じる。都市の文化の中で建物の普遍的な価値は何かという問いかけを常にしていかなければならない。建物保存と景観保存とは事なる問題。
 都市のコンテクストの中で、文化をどのように継承していくかがこれからの現代の建築が解いていく課題である」と纏めました。