JIA Bulletin 2008年6月号/FORUM 「温故知新」 先達から学ぶ
次期の会長と執行部体制に期待すること 小倉 善明
前会長 小倉 善明

上記のタイトルのような中身の原稿依頼があったので日ごろ感じていることを書いてみたいと思います。出江新会長の意見は選挙の時のマニフェストで発表されていますが、まだ新体制での事業計画は理事会では検討中で発表されていませんので、ピント外れの部分があればお許しいただきたいと思います。

 実は、昨年、JIA発足以来始めての会長選挙が実施されることになった時、最も懸念したことは選挙のしこりが後まで残るのではないかということでした。当時、何人かの人たちにこの点について質問した際「しこりなんて残りませんよ」という返事でした。しかしながら、現在、まだしこりが残っているように見受けます。まずは、新体制で会の中のしこりをなくす努力をして欲しいと考えます。会が一つにならなければJIAの活動が実りません。JIAの活動の成果が上がるように全員で会を一つにしましょう。
 JIAは現在、本部事務局に大きな問題を抱えています。支部の方々はあまり感じていないと思いますが、本部は、事務局員に不幸が重なりJIAを支えてきたベテランの人たちに欠員が生じました。補強もままならず現在に至っています。これを補強し、ベテランのいない事務局を本来の体制にもどすには、一時的でも事務局の負荷を減らし、体制を立て直すしかないと思います。負荷を減らすということは、事業を減らすことです。現在のJIAにもっとも大切なことに絞り活動することが、JIAを健康な体にするために必要です。ぜひ今後のJIA活動を永続化するためにも、事務局を立て直していただきたく思います。

 今期は、多くの活動方針を掲げないで、テーマを絞って活動していただきたいと思います。そのなかで、まずは、JIAの一番大切な活動である建築家資格制度を積極的に進めて欲しいと考えます。JIAの登録建築家を増やすと共に早くオープン化に踏み切って欲しいと思います。建築家資格制度のJIAの主張は、建築士法改正運動そのものです。2003年に出した「建築家資格制度施行に向けて」の提案を、会員全員で、ぜひ再度目を通しましょう。この運動の趣旨は今でも新鮮な響きがあります。この主張から外れることなく、迷うことなく建築士法改正運動として現在の建築家資格制度を捕らえ、他協会との連携を図るべきでしょう。建築士会連合会も以前から、建築業協会もそれぞれ資格についての提案をしています。当初からまったくぶれることなく主張し、運動として展開している点は運動の進め方として参考になります。そして、構造、設備の資格が建築士の中に位置づけられた今、我々の主張と、両会の主張には隔たりが少なくなってきていると思います。士法改正運動は、JIAだけでは達成できません。建築5団体が力を合わせることが必要です。
 2番目に重要な活動は、次期会長は、「設計報酬の法制化」という表現をしていますが、設計環境の向上運動です。これまで、JIAは「設計入札をなくそう」という運動をしてきました。この二つの表現が、運動としてどのように関連し合うのか判りませんが、基本的には同種の問題です。「設計入札をなくす」運動にはJIAはこれまで膨大な時間を長い間注いでそれなりの効果をあげてきました。明治時代に出来た会計法という法律によらいないで設計者を選定するというはっきりとしたターゲットがあります。この運動の火も消さないで欲しいと考えます。

 JIAの主張や活動は、どれをとっても長期にわたって続けなければ実らないものばかりです。建築家の資格の創設と設計環境の改善というテーマを実現するには、まだ長い年月にわたり運動を継続することが必要でしょう。この活動は、会長が変わるたびに考え直されるというよりは、多少の変更はあろうとも最初のコンセプトにしたがって運動を強めながら、バトンタッチしていくものであると思っています。したがってバトンタッチには両ランナーの一体感と連携が必要なのです。そしてこのような運動を勝利するには、建築5団体が団結しなければ成し遂げられません。

 私は、2011年のUIA東京大会の開催を5団体の人たちと力をあわせ準備し成功させたいと思います。そこから生まれる相互理解を大切にするよう努力しています。建築界に相互理解が生まれ、その結果、皆の力で良い建築が創れるような環境が出来るならば、UIA東京大会を開催することが非常に意義深いものになると思うのです。

〈(株)日建設計 東京本社〉