活動方針|私たちは、神奈川の建築集団です

2011年度活動方針:「 Think Globally  Act Locally @神奈川 」

社団法人日本建築家協会
神奈川地域会第8代代表 青木恵美子

 まず始めに、東日本大震災で被災された皆さまに 心よりお見舞い申し上げます。

 未曾有の東日本大震災で海と山の自然豊かな風光明媚な東北の町が津波にのまれていく映像に自然の力の恐怖と同時に、町が壊滅することに心が締め付けられる思いがいたしました。さらにその後、原子力発電の爆発で想定外の2次災害になり天災が人災になり災害が拡大しております。
戦後、日本は誰もが目を見張る発展を遂げ、経済的にも世界に誇る程の国となりましたが、経済が支配する経済至上主義の功罪は3年前のリーマンショックで世界的な教訓となりました。
今回の震災は人類にとってまた一つの教訓であると思います。原子力という人類が作り出した最大の科学技術の産物が地震という自然の力によって破壊されたことは、科学技術の力は自然の力に脆くも崩れたといっても良いのではないかと思います。
人類がより“豊かな暮らし”の為に経済と科学の発展、技術の向上を目指してきたことは、根幹から考えさせられるできごとです。この2つの世界的できごと、リーマンショックと3.11の東日本大震災は全く関係のないことですが、私には人類への警鐘に思えてなりません。 豊かな暮らしの創造のために経済の発展と科学技術の向上を目標として、早くスピーディーに、便利なことを快適として突き進んできたのですが、その目標がいつしか目的になってしまったのではないでしょうか? 
豊かな暮らし、安心安全で美しく住みやすいまちづくりのために「建築の価値観」を再確認するべきだと思います。

 豊かさとは何か? 便利とは? 本当の意味の快適とは何でしょうか?  
 安心安全で、美しく住みやすいまちとは?

 私たち建築家は何を目指し 今 何をするべきなのでしょうか?

この2つの人類への警鐘を考えて、2011年度のJIA神奈川の活動方針として3つの活動方針とそれを実行する3つの研究会をご提案致します。

1、 “らしさ”のある まちづくり→まちづくり保存研究会
  神奈川には社会資産である街、建物が数多く存在します。明治以降の近代横浜は勿論、鎌倉、基地のある横須賀、観光名所である箱根、その他いろんな町があります。“らしさ”のある‘まち’それは経済や科学技術向上を優先するのでなく、地域の伝統を守り市民参加の‘まち’を創造しなければなりません。それには、JIAの会員が地域に根ざすコミュニティーアーキテクトとして担う役割は大切です。地域の建物の歴史やまちのありかたを見直すことで、新たな未来の‘そのまちらしさ’を考える。今まであるまちづくりWGが中心となり、支部の保存委員会と連携を取りながら神奈川の街づくりを考えるコミュニティーアーキテクトを目指したいと思います。 

2、 復興を視野にストック型社会構築への古くて新しい建築生産システム→再生保全研究会
  高度成長期を支えた経済至上主義の大量生産、大量消費のフロー型社会からストック型社会へ変化しはじめています。私たち日本人はスクラップ&ビルドから脱却し、持続可能な豊かな社会を目指し、価値ある社会資産を長期に備蓄=ストックする社会構造に変化しなければなりません。
今後のストック型社会の構築には、同時にこの3.11を教訓として科学技術に頼るだけでなく、「復興」を視野にいれ、「自然との共生」であった日本の文化を見直し、「再生」を中心にする、 古くて新しい建築生産システム構築として「建築の価値観」を一緒に考えたいと思います。 

3、 豊かな暮らしを考える人を育てる住教育の普及→住育研究会 
  どんなにすてきな建物やまちが創られても、そこでも暮らしが表現できていなければそれはただのハコに過ぎません。それは人が主役であることを忘れてはいけません。
人が中心の暮らしを創造するために暮らしのデザイン教育=住教育が大切であると考えます。JIAは今まで建築を目指す大学生を中心に建築教育活動と小学生向けに子ども空間ワークを推進してきました。中高生向けの住教育は、教育現場は勿論他にもあまりありません。自我の目覚める中高生が「自分の暮らし」を通して建築、社会を考えることが大切です。今後文部科学省に提言できるような住教育をJIAとして考えていきたいと思います。長い時間かかりますが、このような住教育は、建築文化、街づくりに生かされるものと信じます。

その他、今までの建築相談室WG・すまい講座WG・建築WEEKWGは継続して活動致します。
また昨年度JIA神奈川では従来の建築WEEKを「横濱建築祭」とし、卒業設計コンクールを中心にさまざまなイベントを通して、子ども、学生、市民、企業、行政、建築団体の皆さまと「交流=CROSS×CROSS」をテーマに行いました。多くの方の参加をいただき、未来の社会を創造するために「建築の力」を再認識いたしました。今年の建築祭はより多くの会員とともに、学生や市民、行政、他団体と連携を深めながら建築文化創造の為に「交流=CROSS×CROSS」をバージョンアップします。

2011年 JIAは大変な時期を迎えます。昨年採択された公益法人を実現化する時期に入りました。会員として責任もって1票を投じJIAという会にコミットし、建築家として安心安全で、美しく住みやすい‘まち’づくりと真の意味の‘豊かな暮らし’を創造していきましょう。
また、今秋には第24回世界建築会議UIA2011東京大会が行われます。UIA2011東京大会のテーマは「DESIGN 2050」。世界規模で深刻化する諸問題に対して21世紀の建築や都市はどうあるべきか?を考える会議ですが、この未曾有の災害のあった日本に、「復興」「再生」の指針とともに地球規模の新たなエネルギー問題の課題でもあります。経済、科学技術を駆使してつくることでなく「災害復興」「再生」を視野にいれ、「地域にあう自然との共生」を考え、「建築の価値観」について皆さまと一緒に考え世の中に発信していきたいと思います。

次世代に受け継ぐ地球環境を一人一人が責任もって Think Globally  Act Locally 精神で、神奈川のコミュニティーアーキテクトとして神奈川らしさをつくる為に力を合わせて活動していきますので、研究会など積極的に参加いただくよう今まで以上により多くの会員の皆さまのご協力をお願い申し上げます。

 

 

 

 

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