活動方針|私たちは、神奈川の建築集団です

2016年度活動方針:「 Think Local Act Global @神奈川」

社団法人日本建築家協会
神奈川地域会第9代代表 飯田 善彦

昨年は、もめにもめた新国立競技場が一応の決着をみました。また、横浜市では新市庁舎の事業者が決定しました。今後基本設計からのデザインビルドという、これまでにない未知の領域に入っていきます。この傾向が今後も続くことを考えると、建築家という職能をもっと鍛えておかなければどんどん押し込められてしまうでしょう。あるいは、日銀金利マイナスというこれも前代未聞の政策を打ち出しながらアベノミクスも低迷しています。世界は相変わらず内戦、難民にあふれています。日本という国が更に世界に巻き込まれていく、その先に一体何があるのか、目をつむって闇雲に歩いているような、目を開けるのが怖いような、心が落ち着かない時間が続いています。正しい方向はこっちだ、と大声で叫んでもどうしても違う方に向かっている、そんな気分です。
建築は確固たる物質です。一方まちづくりは正体がわからない。この両方に関わることが補完的でなく、だんだんしんどくなってきていないか、ちょっと自問しています。


さて、「Think Local Act Global 」をスローガンに掲げて2年がたちました。 可能な限り地域(神奈川)に関わりつつそこでの問題や魅力を掘り下げ、それについての議論を世界=世間に明らかにしていく、そのようなイメージでした。公益社団法人となったJIAに参集した建築家が備える知見、経験、公平性、コミュニケーション能力、ネットワークなどを十二分に発揮することで実践できる、というよりJIA建築家じゃないとできないチャレンジに向かいたい、と考えたわけです。
その方法として6つのテーマで新しく研究会を立ち上げ、横浜市と建築、都市に関する包括連携協定も結びました。それぞれの研究会は順調にスタートしつつ、ある程度成果を上げたものもあれば、未だ試行しているものもあります。ただ、どの研究会も今後の展開が期待されるため継続していきたいと思います。



研究会 活動報告
 
 

(1)横浜市新市庁舎研究会
包括連携協定の起点にもなったこの研究会は、デザインビルドが決まった横浜市新市庁舎計画に対して、地元で活動する我々としてなんとか市民にとっていい市庁舎にしたい、との思いで立ち上げたものです。横浜市の新市庁舎担当部局と1年間、ほぼ月1回のペースで協議を重ね、その内容が新市庁舎デザインガイドブックに反映され、同時にJIAからの要望書としてもまとめ、JIA神奈川HPに掲載しました。その後デザインビルド発注者の選考、決定に至る期間中断しましたが、2月5日協議を再開し、施工者に決定した竹中JVの提案を市民に対しデザインレビューするイベントを、建築士会、建築学会と共催する運びに決まりました。今後も基本設計終了時、実施設計終了時にも同様の試みを実行したいと考えています。デザインビルドであるからこそ建築家である我々が市民との橋渡しをすることに意味があると思います。

 
 

(2)防火帯建築研究会
最も活発に活動している研究会です。横浜市旧市街に残る防火帯建築にそれぞれの立場で精通するエキスパートを集めたことで、過去の歴史、現状把握、他都市での同類の研究、見学、今後の計画までかなりの展開を見せています。この間建築祭でのシンポジウム、建築士会主催のイベントへの参加等、戦後の都市政策により生まれ、老朽化と法規不適合でありながら未だ都心に数多く残り、旧市街の風景を特徴づけている都市建築の市民への啓蒙に尽力しています。今後も吉田町第一共同ビルを例に耐震補強、居住部の再生等建築そのものの可能性を検討し、都市資産として残す方策を実践的に構築する試みに取りかかります。

 
 

(3)横浜市庁舎+関内外再生研究会
現横浜市庁舎を含む関内関外にまたがる旧市街地を対象とし、すでに行政主導による様々な活動が先行するなかで、JIAという建築専門集団がどのように関われるのか?様々に模索が続いています。提案自体が絵に描いたモチにならないような現実的で優れた再生手法はあるのか?2月の建築祭での「再考まちのつかいかた」シンポジウムのように今後関内全体を底上げしつつ、特に現市庁舎の可能性を考えていきたいと思います。

 
 

(4)団地再生+郊外居住研究会
単なる一般論に終わらないように、実際に郊外で活動している市民、NPO、行政、研究者等と連携しつつ、具体的な郊外住宅地を対象に、調査、研究、提案をすべく様々な可能性を探っています。早ければ今年の夏に、イベントを企画し研究会としての成果を発信したいと考えています。

 
 

(5)デザインレビュー研究会
この2年間を通して建築を実現していく過程での様々なデザインレビューの可能性を議論してきました。当初研究会のきっかけとなった、公共建築実施設計終了時の市民に対する建築家からのレビューについて、CAVEのような事例研究、リヨン、鎌倉での建築家が介在するデザインコントロールの事例、等について話す一方、JIA神奈川建築祭で横浜市と共催し、横浜市が発注する施設について設計者が市民に対しスライド、模型などを使って直接設計主旨を発表し、質問、意見をもらいディスカッションするデザインレビュートライアルを実践しました。今後このような試みが恒常化、義務化されるよう働きかけていきたいと考えています。他にも、プロポーザルの実践メニューを作り自治体に売り込む、あるいは、JIA神奈川建築賞の制定などのアイディアも今後実施していきたいと思います。

 
 

(6)神奈川地域ネットワーク研究会
横浜に限らず神奈川県各地域での建築、都市、環境に関わる諸問題、あるいは保存再生、まちづくり、マネージメント、運動、などをあぶり出し、それらを共有しつつ議論する場として構想した研究会です。やはり、対象が広域であり焦点が結びにくいこともあり、メンバーは可能性を了解しつつも展開はこれから、という状況です。


 

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